1. 江戸川乱歩

    推理の興味を充分満足させながら、リアルな小説を書くということです。それが理想です。長編の『点と線』などは、その理想に近づいている。ぼくがあなた(松本清張)の出現を画期的といったのはその意味ですよ。

  2. 江戸川乱歩

    孤独に徹する勇気もなく、犯罪者にもなれず、自殺するほどの強い情熱もなく、結局偽善的に世間と交わって行くほかはなかった。

  3. 江戸川乱歩

    男というものは、少々陰険に見えても、根性はあくまでもお人よしにできているものだ。そして、女というものは、表面何も知らないねんねえのようであっても、心の底には生まれつきの陰険が巣くっているものだ。

  4. 江戸川乱歩

    結局、妥協したのである。もともと生きるとは妥協することである。

  5. 江戸川乱歩

    たとえ、どんなすばらしいものにでも二度とこの世に生れ替って来るのはごめんです。

  6. 江戸川乱歩

    「なぜ神は人間を作ったか」というレジスタンスの方が、戦争や平和や左翼よりも百倍も根本的で、百倍も強烈だ。

  7. 江戸川乱歩

    恋愛ばかりでなく、すべての物の考え方が誰とも一致しなかった。

  8. 江戸川乱歩

    中学一年生のころだったと思う。憂鬱症みたいな病気に罹って、二階の一間にとじこもっていた。暗い中で天体のことなどを考えていた。

  9. 江戸川乱歩

    会話を好まず、独りで物を考える、よくいえば思索癖、悪くいえば妄想癖が、幼年時代からあり、大人になっても、それがなおらなかった。

  10. 江戸川乱歩

    小説というものが、政治論文のように積極的に人生をよくするためにのみ書かれなければならないとしたら、彼は多分「現実」とともに「小説」をも厭わしいものに思ったに違いない。